■ 主語を忘れずに 日常会話では、 主語を抜かして話しても意思疎通が取れる場合が多いです。 でも、他人の向けた文章に主語が入っていないと、 意味が正しく伝わりません。 ●例1 × 掃除機が壊れたという連絡を受けた。 ○ 夫から掃除機が壊れたという連絡を受けた。 ×印の例文では、誰から連絡を受けたのかサッパリわかりません。 ●例2 × これから会ってくれるように頼んだ。 ○ これから会ってくれるように、彼女に頼んだ。 ×印の例文では、誰に会ってくれるように頼んだのか、わかりません。 このような文章では読み手を混乱させ、あらぬ誤解を与えてしまう危険性があります。 主語は忘れないように注意しましょう。 ■ 文章のルール 文章には守らなければいけないルールがあります。 ネット上の文章ではほとんど守られていませんが、 実務文などでは最低限の文章作法を守っていないと失笑されますので要注意です。 段落の字下げ 段落(改行から改行までの一文)の文頭は、一文字空白を入れて書き始めましょう。 ●間違った例 少年は難なく見切り、紙一重の間を置いて避ける。 吹き過ぎていく烈風に顔を歪めながらも、薄い笑みは張り付いたままだった。 ●正しい例 少年は難なく見切り、紙一重の間を置いて避ける。 吹き過ぎていく烈風に顔を歪めながらも、薄い笑みは張り付いたままだった。 三点リーダーとダッシュ 三点リーダ(…)とダッシュ(―)は二文字分を使って書きましょう。 1文字文だけではダメです。 ●間違った例 「まったく、やってられないぜ…」 炎上する残骸―オレの愛車を見ながら呟いた。 ●正しい例 「まったく、やってられないぜ……」 炎上する残骸――オレの愛車を見ながら呟いた。 閉じカッコ直前に句読点を置かない カッコが閉じられる前に句読点を置いてはいけません。 ●間違った例 「それなら、しかたないか。」 (後で、また来よう。) ●正しい例 「それなら、しかたないか」 (後で、また来よう) 句読点や!、?、音引き(ー)が行頭来ないようにする これらの記号を行頭に持ってきてはいけません。 ●間違った例 「いやー、さすがに感心しました 。さすがは菊池さんですね」 「すばらしいアイディアですね ! さっそく採用させていただきます」 「朝はパンを食べる主義でね。モ ーニングセットで頼む」 ●正しい例 「いやー、さすがに感心しました。 さすがは菊池さんですね」 「すばらしいアイディアですね! さっそく採用させていただきます」 「朝はパンを食べる主義でね。 モーニングセットで頼む」 ■ 「てにをは」の使い方 「てにをは」とは、助詞の古い呼び名です。 昔、漢文を読む際、漢字の周囲に点を打ち、その位置で読み方を示す方法があり、 左下から順に四隅をテニヲハとあてたことに由来します。 元来は、助詞だけでなく、助動詞、接尾語など、補助的な働きをするものの総称でした。 明治の辞書・言海は語法指南(文法解説)のページに品詞名として掲げ、 本文で「行きて見る」「馬に乗る」「花を見る」「風は吹く」と例を挙げています。 ええ、要するに、「は」「を」「が」「も」「に」など、語句と他の語句との関係を示したり、 陳述に一定の意味を加えたりする文字が、「てにをは」と呼ばれます。 「てにをは」の使い方を誤ると、文章のつじつまが合わなくなるので要注意です。 ●間違った例 彼は帰ってきたら、教えてください。 ●正しい例 彼が帰ってきたら、教えてください。 間違った例の文章は明らかにおかしいですよね(笑)。 この「てにをは」の中で、特に使い分けが難しいのが「が」と「は」です。 「が」は好きなこと、能力、希望などに使います。また「は」より古い情報に使います。 「は」は、新しい情報に使います。 「が」より主語を目立たせることができ、比較したり区別したりする場合に使います。 ●例 私は本を読むことが好きです。 私は本を読むことは好きです。 上の例文を比較してみましょう。 「本を読むことは好きです」と書いた場合、 複数ある好きなモノの1つとして好きだというニュアンスになります。 「が」を使った場合の方が、好きだという感情が強く伝わります。 ●例2 私は一冊の本を10分で速読することができます。 私は一冊の本を10分で本を速読することはできます。 「は」を使った場合、速読することはできるが、他の何かができない。 あるいは、本を10分で速読する以上のことはできないような印象を与えます。 「が」を使った文章に比べて、自信が無いような感じになります。 ●例3 彼が会社にやってきた。 彼は会社にやってきた。 「は」を使った場合は、彼がたったいま会社にやってきたような意味になります。 一方、「が」を使った場合は、彼が会社にやってきたのは、 少し前のような意味になります。